たびたび触れていますが、僕は温泉が大好き。
今日も箱根某所の露天風呂にのんびり浸かりながらこの原稿の構想を練っているところです。思えば今まであちこちの温泉に行きました。
北海道にいた頃はいたるところに温泉があって家族でいろいろ出掛けました。
大学に籍を置いていた頃は道内各地の病院に泊まりがけで出張に行く機会がしばしばあり、
お気に入りの温泉があるホテルに宿泊するときは「早く出張の日が来ないかあ」
とワクワクしたものです。特に冬の温泉は最高でした。
しんしんと降り積もる雪の中、ほとんど貸切状態の露天風呂に入りのぼせたら雪にまみれ、凍えたら湯に浸かる。そんなことを繰り返して何時間も過ごしました。
有名な登別温泉、函館の湯の川温泉をはじめ札幌近郊の定山渓温泉、
そのほか名も知れないようなひなびた温泉まで、随分と訪れたなぁ。
変わったところでは稚内の近くの豊富(とよとみ)温泉があります。
かつて石油の試掘中に掘り当てたという温泉で、まるで灯油に浸かっているような
匂いが立ち込める世界的にも珍しい泉質の温泉でした。
また長万部の二股ラジウム温泉も世界で唯一ラジウムを含む温泉とかで不思議な温泉でした。
支笏湖畔の丸駒温泉ではとんでもない事件が起こりました。
露天風呂に一人で入っていた時に
女湯に入っていた女性たちの声が聞こえてきたのです。
「男湯はどんな感じなのかな?見に行ってみようよ」
「え?」
キャッキャ言いながら近づいてくる足音。こっちは一人。恐
怖で凍り付きました。「ど、どうしよう」思わず「岩になれ!」と念じたほどです。
彼女たちは露天風呂のすぐ脇まで来ると脱衣所に脱いだ僕の浴衣を見つけ
「あれ、だれか入ってる!」で、次の瞬間足元に僕の頭を見つけ
「キャー」と走って逃げていきました。
キャーはこっちのセリフだよまったく。
岩になって固く目を閉じていた僕は結局彼女たちの姿を見ることはなかったのですが、
しっかり見てやればよかったと今も後悔しています。
だって悪いのは向こうなんだから。ま、これは泉質には関係のない話でしたね。
東京に来てからは仕事が忙しくなかなか遠くまで足を伸ばせずにいますが、
たまに札幌に帰省するときは実家には泊まらず、
ススキノのど真ん中にある温泉付きのホテルにわざわざ泊まります。
ここは湯舟がとても広くて気持ちいいんですよ。ちなみにこのホテル、
すごく人気があってなかなか予約が取れないのが目下の悩みだったりして。
将来はキャンピングカーでも手に入れて、全国各地の温泉をゆっくり巡りたいなあ、
と思う今日この頃です。
そこでふと思いました。「インバウンド需要」などといって最近は日本を訪れる外国人
観光客がどんどん増え、彼らの消費行動が日本の景気を左右するほど大きなものになって
います。街中で見かける外国人の数も明らかに増えている実感があります。
かつての中国人の爆買いツアーは影を潜めましたが、
最近は日本各地の日本人も知らないようなマニアックな日本を見ようと訪れる人が
増えているそうです。SNSを通じて彼らはそういった情報を仕入れているようです。
それはそれで大変結構なことですが、
それに絡めて温泉をもっとアピールしたら良いんじゃないかなと思うわけです。
プレートとプレートがぶつかり合って盛り上がってできたのが日本だそうですが、
そのおかげで活火山が日本中にあり、そのために温泉も全国に散在しています。
一説によると日本国内どこでも地中深く掘り進めれば温泉が出るそうです。
そんな稀有な国は世界中どこを探しても日本だけです。
地震などの災害が多いのはそういった日本の成り立ちから考えて宿命といえるものです。
でもその成り立ちこそ他の国から際立たせる個性をもたらすものなんじゃないかと思います。
「カラスの行水」の人も中にはいますが、温泉そのものが嫌いという人はいないと思う
のですね。湯に浸かるという習慣がない外国人も同じなんじゃないかな。
温泉に入ったらみんなリラックスして感激すると思います。
「コレゾ日本の文化デスネ!」とね。
唯一無二の「温泉大国」として日本を売り出しましょう。
富士山も京都も大阪もいいけど何度もリピートするのにはちょっと動機が弱い気がします。でも無数にある温泉を目的にすれば何十回でも日本を訪れる理由になりますよね。
今回は別府温泉、次回は草津温泉とか。
で、その温泉の周辺の観光地を一緒に回ればもう完璧。
完全ガイド付きの電気自動車なんかをレンタカーとして安くバンバン貸し出せば交通の便の悪い温泉地へも誰でも行けちゃいます。
音声を自動で翻訳する機械も実用化され始めているし、
言葉の壁はもはや無くなりつつあります。温泉宿で提供する食事も地産地消を心がけます。地場産業を世界に紹介する絶好の機会です。
山の中の温泉で刺身を提供したりするのはこの際止めましょう。
ただ最近は山の中で廃校になった校舎の建物を利用してフグの養殖に成功している自治体もあったりするので、そんなところではむしろ積極的にそういった食材を出すと面白いですね。しっかり日本の技術を世界に示すことができるというものです。
また温泉にはそれぞれ効能効果があって、昔ながらの湯治場を設けて自炊しながら長期
滞在するようなところもあります。いまは高齢の日本人客ばかりだと思いますが、
外国人にも積極的に湯治を紹介したらどうでしょう。
ゆっくり温泉で療養してもらいながら自国の料理を自炊するサポートもするし、
和食の作りかたを学びたいという人には料理教室も開いちゃう。
畳が苦手な人にはベッドも用意しましょう。湯治ですっかり良くなった人が
SNSで広めてくれれば同じような動機の人が押し掛けて町興しにもつながるかも知れませ
ん。
ここまで書いてきて、なんだか自分で温泉を掘ってみたくなりました。
我が家のリビングから見える庭。200坪くらいあるかな。
大きな桜の木が2本あり、春には見事な花を咲かせます。
ここに温泉が出たら最高だろうな。
夜桜を眺めながら露天風呂にゆったり。想像しただけでああ幸せ。
でも最大の障壁がありました。
それは・・・この広い立派な庭が残念ながらお隣さんの敷地だということ。
勝手に掘ったら怒られるだろうなあ(当たり前)。おしまい。
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コロナ禍の前に書いた原稿ですが、ようやく状況も落ち着きを取り戻しつつあり円安の恩
恵もあって来日する外国人が再び増えてきました。『Youは何しに日本へ?』という民放の
番組があります。様々な目的で来日する外国人にしばしば感心しますが、『日本中の温泉
巡りをしに』という人はまだそんなに多くはないのでは?是非この機会に全国の様々な温
泉を体験して地元にたくさんお金を落としていただき、日本経済に大いに貢献してもらい
たいものです。
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